添練ワンドロアーカイブ

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お題:『サイン』

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「練牙さーん」
「うわぁあ!」
練牙の背後から添がのしかかる。リビングで自由帳を広げてああでもないこうでもないとうなって添に全く気づいていなかった練牙は大声を上げた。
「て、添!いるなら言ってくれ!大声出しちまったじゃねえか……!」
「えー、面白い声だし気にしなくて大丈夫ですよ」
「おも……?」
「まま、気にしない気にしない。ところで進捗とかどんな感じです?」
添が肩口から覗き込むと、企画らしきページが散乱しているもののまだこれといった決めてがあまり見えないものだった。
「……イマイチってやつですねー」
「あ、あとほんのちょっとしたらまとまりそうで」
「って昨日も言ってませんでした?」
添がにっこり笑顔で追撃すると練牙の眉はへにょりと下がる。
「うう……なんか、こうしたいってのはいくつかあるんだけど、ひとつにまとめようとするとごちゃごちゃしてきちまって」
「うんうん」
その様に添は目を細め、後ろから抱きしめるように顎を肩に乗せる。ちょっと苦しそうなうーという声は無視するものとする。
自分ならいくつか上がったものをそれなりにまとめてしまえばいいと思うのだが、一度それを勧めたところ、
『添……それなり、ってどうすればなるんだ……?』
とさらに眉を下げた顔で泣きつかれ、この人は力を抜くとかサボるってのも苦手なんだと悟って方向転換をしてあげたのが記憶に新しい。全力で光らないと生きられないなんて、お天道様も大変ですこと。
「手伝いますよ。何と何をまとめたいんです?」
「んぇ、と……この案と、こっち……ッん」
「練牙さん?」
練牙がいきなりリビングに入れなくなるような声を上げ始め添は怪訝な顔を向ける。まだ今日は何もしてないのに。
「あ、ごめっ……えと、ぉ」
「練牙さんちょっと口閉じて貰っていい?」
「ふ……ッ、ん」
口を塞いだが完全に逆効果だった。
「練牙さーん、オレを求めてくれんのは嬉しいですけど、ここリビングですからね?公共の場」
「ん、んんー!んむ!ふむー!」
「はは、何言ってるんだろーなー」
「むぐー!!」
添が口を塞いでいた手を外してやると、練牙はサラサラの髪と同じくらい顔を真っ赤にして睨みつける。
「ぷは!そ、そっちこそ!」
「え?」
潤んだ二色と赤い顔で何を言っても説得力は皆無だけれど、まあ聞いてやろうという気持ちで顎を指先であやすようにするする触る。
「んぅ……ッこら添!オレ様はほんっ、うぅ〜……」
「あはは。ざ……っんん。可愛いですね〜」
「うゅ……ッずるい、ずるいぃ……」
「いや最初に人誘うようなエロ声出したの練牙さんですからね」
「だから、出してな、いぃ……」
「えー嘘だー。今みたいなエッロい声出してましたって」
「だから、ッそれは添が……ぁ、耳、こしょこしょってぇ……」
「耳?」
顎から下に指を滑らせ、首のファスナーの輪に指を掛けて少し開けては首を撫でてと弄びながら添は数分前の自分を思い出す。
後ろからのしかかって、首元に、
「あ、あー……コレです?」
くしゃり、と頭を左耳に擦り付ける。
「〜〜〜ッ!」
「なるほど?」
そういう雰囲気になった時、添と練牙はお互いのピアスを外し合っている。最近くすぐったそうにしているなと思ってはいたけれど。
「……思い出して、シたくなっちゃったんだ」
「ッうぅ〜……てんのせいだぞ……!さっきまでなんもなかったのに!そ、そんな」
「お誘いしてって?」
練牙はコクコク頷いて腕から抜け出そうともがくが、添が許すわけもない。
「そんなー。オレはただ、練牙さんを思っていつもピアス外してあげてただけなのに?」
添は頭を肩から外して、首元で遊んでいた指を耳へ。
「ぁ……や、てん……ッ!」
「それをエッチなお誘い(サイン)だと思っちゃうようになったのは、練牙さんですよね?」
左耳のピアスにそ、っと触れては離れ、耳の後ろにふう、と息を吹きかける。
「ぁ、あ……」
「ほら、企画書作るんですよね?もうすぐ終わるんでしょ?……がーんばれ、がーんばれ」
「は……ぁ……ッが、がんばゆ……がんばゆかりゃ……」
添の囁きでおぼつかなくなってしまった手で企画書を手繰り寄せて、ペンを持つもののこんな状態で集中できるわけがない。
「練牙さん……ほら、集中しないと。終わったら、オレと……ね?練牙さん」
「ぁ、おわったりゃ、おわった、りゃ……」
「だから、」
震えるペンを後ろから支えて、添は誘う。

「ね。一緒に……がんばりましょ?」