「着きました」
曹潤に礼を言い、車から下りると見覚えしかない馬鹿の顔が目の前にあった。
確か化粧品かなにかのアンバサダーに就いたと言っていたか。その巨大広告を暫し見る。
名の知れた企業の広告塔になる程度にあの馬鹿はモデルとして頭角を伸ばしている。それはアイツの努力や人柄の賜物であるし、その面については一定の評価をしている。言ったことはないが。
ファンと思しき女性が広告の前で何人も写真を撮っている。男性も数人写真を撮っていた。
高校の頃モテなかった、などとほざいていたが、女生徒が徒党を組んで牽制しあっていたから誰からも声をかけられなかった、が事実だ。クールで素敵などと言われていたし、人の好みは様々なことだ。
ただ。
あの面相を見ると、どうしても奴の事が頭を過ぎる。特にああして澄ました顔をしている時は余計にだ。たかが面が似通っていたところで、別個の存在だというのに。
「ふ」
いずれにせよ、あれはアイツの実績であり成果。それは紛れもなく『本物』だ。
一枚だけ写真を撮り、その場を去ることにした。
積み上げたもの
Lie×Ren
