煙草呑みの徒然事

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 大前提として、煙草は身体に悪い。中毒性のある草の燃えた煙を吸ってるって事実は何も変わらない。
 じゃあ何故そんなもんを嗜好しているのか、とよく問われるけど、理由なんて特にない、が正確なところ。
 口直しだとか、寒空の下で吸う煙草が効くとか、むしゃくしゃした気分がスッとするとか幾らでも理由はつけられるけど、なんだか人に話すためにわざわざ理由を作り出している気がする。
 酒ヤニヒモのカスの役満と言われて久しいけど、酒とヤニでやらかした事は一度もない。ヒモ?まあほら、その話は別にいいじゃん。
 それにパチはちょっとしかやってないし、役満まで行かないと思う。せいぜい清一色くらいだろう。
 いや、ホントにハマってない。大空物語4の風車上の釘の角度とか、家光のエンド絵示唆とか、6月6日がアツいとか、そんなの全然知らない。
「ふー…」
 そういう訳で、今日の喫煙所はパチンコ屋。
 喫煙者の肩身が狭く、駅前の喫煙所の人口密度はとんでもないし他人の煙を吸ってる方が多いだろっていうこの時代、フリーで入れる喫煙所は本当にありがたい。それに、
(こういう所って一人になれんだよね~)
 大学の喫煙所はだいたいつるんでるヤツと吸いに行くし、HAMAハウスはちょくちょく人が来る。シゴト後のその辺のビルの屋上はそういう気分ではなくて。
 誰かが言っていた言葉を借りれば、

『ひとりになれる時間を能動的に作れる』
 もちろんブースには他の喫煙者もいるわけだけど、連れ合いで来ている奴らや顔見知りでもない限りそいつらとのコミュニケーションはほぼ発生しない。たまに火忘れて貰って、くらいのやり取り。
 それでいいし、それがいい。ただ灰皿と場所が必要な人間がそこにいるだけ。
 人と関わったり仕事であったりですこしザラついた心を鎮めて、こうしてものごとをつらつら考えるには、心地よい距離感だ。
(千円払ってすこしの釣り銭が戻ってくるくらいの出費でこの時間が取れるなら、全然コスパ高いよね)
 さて、ブースがすこし混み始めた事だし、思索の時間終了。重たいスライドドアを開けて外に出る。
「…わーお」
 ついでに無視してたスマホを確認するとなかなか凄まじい量の通知が溜まっていて。
「………あ今日朝班ミーティングだったわ」
 思い出したタイミングで、本日数度目らしい見慣れた電話番号の着信が来た。うわー、取る前から犬の心配げな声と社長と大鹿の怒気が伝わってくる。
「はーい。…いやーホントすみません、大学で教授に捕まっちゃって〜。そうなんですよ練牙さん、なんかね、最近態度がなってないとかで。
 …え?嘘じゃないですよ。礼光さんの中のオレそんなイメージなんですか?…えー。『そうだな』って。いや社長まで。あーあ、オレ傷ついちゃうな〜。
 …はーい、反省してまーす。んじゃ今から向かうんで、練牙さん資料のデータ先送って貰っていいです?…あー。えっと、パソコンに作ったやつありますよね?パワポ。そのアイコンそのまんま朝班ぺチャットに…いやそれ消、………。

 あっ!雪風さんあざっす、確認しましたー。練牙さん、雪風さんからデータ貰ってください。……大丈夫ですよ練牙さん、誰でも完成したデータ全消しすることくらいありますって。ほら、雪風さんだってこう言ってるし。
 …社長〜オレ本当に反省してますって〜。

 じゃあ練牙さん、また後で。」