アルベド

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 冬も深くなり、寒風吹きすさぶHAMA。
 八つ裂きタイガーのコタツでは、煉瓦色と黒色が暖かさを満喫していた。
「いや寒いな…」
「ですねー」
 天板の上には温かいお茶にみかんがカゴで置かれている。練牙は手を伸ばしてみかんを取り剥き始めた。添はそれを横目に見ながら湯のみをゆらゆら揺らしもて遊ぶ。
「よく晴れてるから外歩きでもしよっかな〜って思ったんですけどね。いやー、風が強くて」
 添はこてん、と頭を練牙にもたれさせる。
「風に吹かれるとより寒く感じるよな、三区も風強いとゴンドラ止まることあるし…」
「そっちの方って海風もありますもんね。

 あ、話変わるんですけど練牙さん、『メンズトントン』の特集、もしかして春物の撮影ってこの季節からやってるんです?」
 話を振られた練牙はそうなんだよ、と眉を下げる。
「風が強くない時はまあ、寒いだけで良いんだけどさ。よくねえけど。 ほら、やっぱ春って軽やかなイメージだろ?風が欲しい画もあったりしてさ…」
「うわ、寒そー。モデルってやっぱ体張る仕事ですね」
「まあな、メイクさん達や照明さん、カメラマンさんもたくさん頑張ってくれるけど、最後は身ひとつっていうか」
 言いながら練牙はみかんを取ると皮を剥き、丁寧に白い筋を取っていく。添はそれを見ながらお茶をすする。
「あー、茶が沁みる」
「これ食べたら持ってこような」
 微笑みながら、筋が全てなくなったみかんの房を半分に割る。
「練牙さーん」
「ん?」
「あ」
 練牙はみかんをひと口分取り、添に差し出す。
「ん、あま」
「な」
 添は口元を緩めて剥かれたみかんに手を伸ばし、練牙はそれを見て満足そうにまた別のみかんを手に取り剥き始めた。
「そうだ練牙さん、明日風おさまってたらウチの区の立橋でも見に行きません?」
「え、いいのか?!」
 その提案に練牙は目を輝かせる。
「練牙さん確か休みでしょ?オレも授業とかバイトないんですよね。クルマ出すんで日のあるうちにどうです?」
「い、行きたい!海側に見えるきれいな橋だよな!」
「あはは、なんか自分が褒められたみたいでくすぐったいですね」
「え!い、いや、添もかっこいいぞ!モテモテだし…」
「あれ、『も』ってことはオレ橋に負けてます?」
「え?!」
 添はへらりと笑って練牙のみかんを剥く手をつつく。
「そっかー、練牙さんの中ではたかが海に建ってるだけの無機物の方が上なんだー」
「ち、違う!そんなつもり」
「あー悔しいなー」
「添〜!」
 眉を下げた困り顔で肩を揺らすもどこ吹く風。慌てふためく練牙を楽しそうに見ながら、添は明日の予定を考え始めていた。