「うわぁぁぁ!!」
昼下がりのHAMAハウス、八つ裂きタイガーにて。
「……、あの、練牙さん。オレ昨日遅くて、もう少し寝たいんで静かに……」
練牙の絶叫で心地よい午後の二度寝を邪魔された添が引きつった笑顔でカーテンを開けると、
「て、添〜〜〜!」
ーー階段の下で胸の谷間が喋っていた。
「……はい?」
「な、なあどうしよう?オレ来週泊まりの撮影あるのに……今週の打ち合わせとか、顔合わせとか……」
どうすればいいんだ〜と情けない声にあわせてハリのある胸がプルンプルンと揺れる。女の乳だなーと添は寝ぼけた頭でそれをただぼうっと眺める。
「休……まないとダメだよな……いやなんて説明すればいいんだよっ!女の子になったから休みますとか誰も信じねえだろ!」
「うるせえ。廊下まで馬鹿な声が響、……」
「な、なあ礼光どうしよう!オレ、これじゃ仕事……!」
注意に来た礼光がその光景に一瞬硬直する。が、何とか立て直し、部屋に放り出されていたジャージを肩から被せた。
「……、もう少しマトモな服を着ろ」
「んなこと言ったって、胸がキツくてなんも入らねえんだよ!」
「あっはは。練牙さん、それ女の子の前で絶対言っちゃだめですよ。ていうか礼光さん知ってたんですね」
「ああ、軽く食おうとダイニングに行ったらこのザマだ」
「おい礼光このザマってなんだよ!お前だって固まってたクセに!」
「目の前で夜半の明らかに不審な肉まんを勧められるまま食った途端いきなり性別が変わったら誰でも動転するだろうが」
どうやら自分が起きるまでに相当愉快なことが起こっていたらしい。
「ふーん。つまり練牙さんは『また』子タロの出した食べ物を何の疑いもなく食べたんだ」
「だ、だって!美味しいだろ!」
「満腹感の代償がデカすぎません?この間は犬の耳とか生えてましたよね?」
「うぐっ……でも、せっかく出してもらったものを食べないなんて申し訳ねえし……」
その結果巨乳女になってますけどね、という苛立ちをおくびにも出さずとりあえず起きるために階段を降り、谷間に降りていってるみたいでおもろいなと薄く笑う。
「ていうか練牙さん、下着とかってどうしてるんです?」
もちろん、添は答えをわかっていて敢えて聞いてやった。無駄に遊び歩いているわけではない。案の定練牙は胸元を今気づいたかのように慌てて前を隠す。
「え、いやその、だって」
「いや、意地悪とかじゃなくて。本当にどうしてるのかなーって」
「うゅ……あ、えと」
「まさかセレブタレントの練牙さんともあろうものが、下着をつけてないなんて」
練牙が本格的に半泣きになったところで添に礼光の雷が落ち、追及は止まった。

